Creator's Value クリエイターズ・バリュー

SEIBUNDO SHINKOSYA PRESENTS

森田 悠揮 CG artist

森田 悠揮 CG artist

Yuuki Morita

 

●PROFILE
平成3年生まれ、名古屋市出身。立教大学現代心理学部卒。大学と専門学校のダブルスクールを経て、 在学中に世界的な CG コンテスト「CG Student Awards 2013」で第3位を獲得。現在は東京を拠点に フリーランスのCG アーティストとして、主に生物やクリーチャーのデザインと造形を主軸に、映画 、TV、 ゲーム、ミュージックビデオ、広告等さまざまな分野のCG に携わっている。

幻想的なクリーチャーから溢れるリアリティとダイナミズムは、見るものを異空間へ誘う。

幻想的なクリーチャーから溢れるリアリティと
ダイナミズムは、見るものを異空間へ誘う。

フリーランスのCGクリエイターとしてさまざまなジャンルの3DCG映像制作に携わる森田悠揮さんに、独自のクリエーションが産み出される、原点とこだわりを語ってもらった。
(聞き手 クリエイターズ・バリュー編集部 文・中山薫)

幼少期の好みや経験が、今の創作する楽しさにつながっている

●独特な表現を醸成した幼少期から成人になるまで、どんな時間を過ごされたかをお聞かせください。

森田:母の家系は芸術が好きで、祖母は趣味で油絵、母はグラフィックデザイナー、叔父は漫画家でした。幼いころは母方の家庭で育ててもらったので、よく絵を描いたり、あらゆるジャンルの芸術作品に触れる機会に恵まれていました。小学校に入ってからはモノの形に興味を持つようになり、よく買ってもらったのが、化石や宝石や仏像、変わった形の造形物。当時、母が仕事でグラフィックソフトのphotoshopを使っていて、触らせてもらったりで、そんな環境のおかげでデジタルネイティブな体質になったんだろうと思います。

映画やゲームで3DCGが多く使われ始めたのが小学生の高学年。高校卒業の頃に映画「アバター」が公開され、その頃から真剣に3DCGに対する興味が湧いてきて、いつかやってみたいなと思うようになったんです。  大学2年の時に、将来について真剣に考えはじめ、デジタルハリウッドの土曜日コースに入学。最初はphotoshopやillustratorで2Dを勉強してから、Mayaという3DCGのソフトを習得していきました。  

自宅のパソコンにCGソフトの学生版をひと通り入れ、卒業までの半年はMayaだけでなく、zbruth、nuke、AfterEffectsと、使えるものは何でも使い、マテリアルやレンダリング、コンポジットなどを徹底的に勉強。youtubeの3DCG講座も参考にしながら、徐々にまともなものがつくれるようになりました。ソフトの使い方以外にも、絵の描き方や色彩学などアート全般のこともどんどん吸収していく日々でした。

今改めて振り返ると、自分自身は単に好きなことをやってきただけなのですが、実際は、家族が幼い僕の好奇心をなんとか満足させてあげようと、モノや体験を与えてくれていて、そんなバックアップが、今の僕のクリエイターとしての素地を作ってくれたのだと思います。

苦手なことも好きなことも 目標達成に必要なのは達成感を知ること

●大学を卒業後すぐにフリーランスとして活動されてますが、どんな仕事のスタンスをお持ちなのですか?

森田:「CG Student Awards 2013」で3位を獲得し、多くの企業から声を掛けていただきました。海外のハリウッド映画の制作会社にも誘っていただいたのですが、当時の自分のレベルでそこに行ったところで、思い描いていたアーティストとしての仕事はできないと思ったので、あえて日本で仕事をしながら自主制作を続けていこうと決めたのです。  幸い、僕の作品を多くの方が見てくださっているようでオファーが続いているので、大学卒業後も引き続きフリーランスのまま仕事をして、合間に自分の制作を続けています。

正直言って当初は、仕事よりも自主制作を優先させたい気持ちが強かったのですが、場数をこなしていくと仕事の中にも自主制作の要素みたいなものを見つけて、そこにモチベーションを持っていけるようになってきました。プロジェクトが大きければ大きいほど仕事としてやり甲斐があるという考えではなく、実際は自分がそこにどういう関わり方をするのがいいかという部分に焦点をあてて仕事を選べるようになってきました。なので、それこそハリウッド映画のような大きな案件にただ関わるのではなく、自分の理想の関わり方ができるような実力作りをすることが、今の自分にとって一番重要なんだろうなと思っています。

自主制作についても今はネットで簡単にアピールできるので、作品のクオリティが飛びぬけてさえすれば、自ずといろんなスタジオから声がかかるし、そういう上から攻める姿勢はCGを学び始めた当初から変わっていないスタンスです。ネットやフォーラムで作品を見てもらって、あまり良いリアクションが受け取れなかったら、単純に自分に実力がないんだなと改めて謙虚になるきっかけにもなりますし、逆にその作品がきっかけでありがたいお話をいただけたりもします。自分の作品が誰かの心をつかんだときの達成感がとても気持ちいいですし、自分自身が納得のいくものを作れたときが最高に幸せです。

自分の原点と興味を大切にしつつ新しいことへの貪欲さを両立させることが大切

●作品に果てしない創造の追求が漂いますが、そのような修練をされているのですか?

森田:CGは知識(ソフトの操作方法や美術的な知識)が8割。そんなことは本を読んだり調べたりすればわかるから、誰にでもできてしまいます。そこから上に行くには良い作品を見たり、他のジャンルの知識を入れたりして結びつけることです。自分にしかできないことを考える、ということをしないと突破できない。そのためにはなるべく自分よりうまい人のもの、一流のものをたくさん見て、狹たり前のレベル瓩鬚いに引き上げるかという作業が重要です。また、僕の場合なら解剖学の知識も必要ですが、造形的に見て爛僖辰噺瓩竜せちよさを判断するセンスを高めることが何より必要な力です。  

自分の成長曲線は常に気にしています。今はまだまだ伸び盛りだから、半年前につくったものがすごくへたくそに見えたりします。自分に足りないところが 3カ月ごとくらいに見つかるので、ここからまだまだ伸びると思います。僕より経験のあるアーティストなら当然のように行っているであろう思考を、まだまだこれから先たくさん気づくことができる思うと自分でも楽しみで仕方ないです。  最近は作業時間よりもインプットのほうが大事だと考えて、何を見るにも分析する視点で見ています。たとえば、生き物のリファレンスを見る場合、CGを始めたばかりの頃は「この皺や羽をどう表現しようかな」と細かい部分にしか目がいかなかったのが、最近は「この爛僖辰噺瓩良垉ぬさってなんだろう?」などとマクロの視点で見るようになって、体のバランスに対しての顔の長さだったり、曲線の曲率だろうなということが自然に分析できるようになっています。  

僕のモチベーションはある種の使命感から来ていて、架空の生き物とか、自分の中で「これはつくらなきゃいけない」というものがずっとあるんです。「この人にしかできない」というようなものをつくる人にならなきゃいけない。たとえば、数学者って宇宙の真理、ある現象を1つの数式で表したいから何十年も数字と向かっているんですよね。多分それと同じで、永遠のテーマを追い続けているような感じです。自然に存在しそうなのに実際にはない、こういう形のものがあったら見てみたい、みたいなものをたくさんつくりたい。小さいころ化石が好きだったのも、そういうことだと思います。デザインされた美しさより、いかにも自然から自己発生した感じが好きです。生物の定義として自己組織化というものがあって、何もないところから勝手に細胞が集まって勝手にそれぞれの心臓やら肺やらが分かれて1つのシステムとして成り立つというようなこととか。また、「不気味」とか「かわいい」というような牋象瓩侶狙過程にもすごく興味が あります。  

まだキャリアが浅いので、仕事面では20代のうちに実績を積み重ねてバックボーンをきちんとつくっていかなければなりません。また、自分の制作物をいろんな形で、より広い分野で発表するなどして、よりたくさんの方に自分の作品を見てもらいたいと思っています。

 

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